「呪怨」の一瀬隆重プロデューサーが諸星大二郎の傑作漫画「生命の木」を映画化。東北の山奥を舞台に、歴史と聖書にまつわる怪事件を描く伝奇ミステリー。監督:小松隆志、キャスト:藤澤恵麻, 阿部寛, ちすん, 柳ユーレイ, 神戸浩
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奇談 (2005) : Kidan のストーリー
1972年。民俗学を専攻している大学院生・佐伯里美(藤澤恵麻)は最近、巨大な穴と幼い少年が現れる奇妙な夢を見るようになっていた。小学一年生の夏休み、東北の隠れキリシタンの里として知られる渡戸村に住む親戚の家に預けられていた里美は、一緒に遊んでいた少年と共に神隠しに遭い、その前後の記憶がなかった。当時の記憶の断片にも思えるその不思議な夢に誘われるように、幼い頃の失われた記憶を求めて、里美は渡戸村へと向かった。渡戸村は徳川幕府の弾圧から逃れたキリスト教徒が作った隠れ里だが、その村の一部にある「はなれ」という集落の住人たちは、村ができる遥か以前から全員がキリシタンだった。近親婚を繰り返した彼らは7歳程度の知能しかなく、そのうえ不死だと噂されていた。渡戸村の住人たちは「はなれ」を村八分にし、村の恥部として外部に知られることを嫌っていた。村の教会に立ち寄った里美は、村に伝わる聖書異伝『世界開始の科の御伝え』を調べるためにやってきていた考古学者・稗田礼二郎(阿部寛)に出会う。翌日、かつて隠れキリシタンの大量処刑が行われた山で、「はなれ」の住人・善次が磔の刑に処せられたかのような遺体となって発見された。里美と稗田は長老や寺の住職から村に伝わる話を聞き出し調査を続け、渡戸村では昔から子供たちの神隠しが頻発していたことを知る。やがて、16年前に里美と共に行方不明となった新吉が当時のままの姿で発見された。彼は人々の問いに何一つ答えず、『世界開始の科の御伝え』をつぶやき続け、そして忽然と姿を消してしまう。里美と稗田は、すべての謎の根源ともいうべき「はなれ」に向かう。だが、「はなれ」には重太以外、誰一人住人は見当たらなかった。「『いんへるの』行っただ。それから、『ぱらいそ』さいくだ」。そう話す重太から、彼らはさらに、「はなれ」の住人たち全員で善次を殺したという衝撃の事実を聞かされる。一方、その頃、教会に安置されていた善次が甦り、「はなれ」に向かっていた。それはイエス・キリストが復活したのと同じ、死後三日目のことだった。稗田は「はなれ」の住人たちの行動が『世界開始の科の御伝え』に書かれていることに合致することに気づく。そして、かつてキリシタン弾圧のさなか、多くの宣教師が殉教覚悟で日本に渡来した背景に、日本に『生命の木』が生えているという伝説が当時のヨーロッパにあったことを思い出していた。やがて、稗田は集落の外れに洞窟の入り口を見つけると、ある確信を持ってその中へと歩を進め、里美もその後に続く。里美の失われた記憶はしだいに鮮明に呼び覚まされ、すべての謎が解き明かされようとしていた。しかし、その穴の奥で彼らを待ち受けていたのは、彼らの想像を遥かに超える衝撃的な光景だった。
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